橙色の夢の中で

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ある日の午後、私は小さな茶色の段ボール箱に身を隠していた。外の世界は広く、色とりどりな音や光があふれているけれど、私の小さな箱の中は、まるで秘密の隠れ家のように心地よい。宝物のように柔らかい紙くずや、ほんのりとした匂いが漂ってくる。ここでは、誰にも邪魔されずに自分だけの静かな時間を過ごすことができる。

突然、外の景色が変わり、ひとしきりの足音が近づいてくる。私は心の中でドキドキしながら、耳をぴんと立てる。視界の隙間から、友達の黒い猫がこちらを覗いているのが見える。「こっちに来て、遊ぼうよ!」と彼は誘うけれど、私はこの狭い箱の中の安全が心地よくて、なかなか外に出られない。

「どうしてそんなに怖がるの?」黒猫は不思議そうに言う。「外にはもっと楽しいことが待っているよ!」その言葉に心が揺れ動く。外の世界の美しさ、冒険、そして新しい友達との出会い。私は思い切って箱の中から顔を出す。陽射しが優しく私を包み込み、柔らかい風が毛を撫でる。心の中で小さな勇気が芽生え、私は黒猫に続いて外に出る。

新しい世界が広がっている。今まで知らなかった楽しさが待っている。私はもう、ただの段ボール箱の中の猫ではない。冒険が始まる。

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