柔らかな午後の光

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私の名はモカ、濃い茶色のタビー猫。窓辺で日向ぼっこをしていると、心地よい風がカーテンを揺らし、まるで私を誘うように感じた。外の世界は広く、美しい色彩に満ちている。小さな庭には、色とりどりの花が咲き、昆虫たちが忙しく動き回っているのが見える。今日は特に、蜂が楽しそうに蜜を集めているのが気になる。

私はその蜂を追いかけたくなり、窓を開ける。外に飛び出すと、草の感触が足の裏をくすぐり、ワクワクした気持ちが広がる。庭の隅には、古い木の根元がある。そこには小さな穴が開いていて、私の興味をそそる。おそるおそる覗き込むと、真っ暗な奥には小さな生き物の気配がする。心臓が高鳴る。

その時、突然、後ろから「モカ!」と呼ぶ声がした。人間の友達、リナだ。彼女はいつも私を優しく撫でてくれる。この声がすると、冒険心が一瞬消え、安心感に包まれる。私はリナの元へ駆け寄り、彼女の足元でゴロリと転がる。彼女の笑顔が私を包み込む。たまに、外の世界がどんなに魅力的でも、彼女とのこの瞬間が一番大切だと感じる。

リナは私を拾い上げ、優しい手に包まれながら、再び日向に戻る。私たちの小さな冒険は、ここで続いていくのだ。外の世界は待っているけれど、今はこの幸せな瞬間を、心に刻み込むことにしよう。

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