流れゆく影

灰色のコンクリートの上、私の白い毛が陽の光を受けて輝く。ここは、私の住処でもあり、時折訪れる人々の視線にさらされる場所。彼らは私を流浪猫と呼ぶ。けれど、私にとってはこの自由な生活が心地よい。毎日、新しい匂いを嗅ぎ分け、見知らぬ世界を探索することができるから。

今日はいつもと違って、心が高鳴る。小さな子供が私に気づき、大きな瞳を輝かせて近づいてきた。優しい手のひらが私の背中を撫でる。温かい感触に、思わずゴロゴロと喉を鳴らす。子供の笑顔は、私の孤独を一瞬忘れさせてくれる。しかし、彼が離れていくと、再び孤独が背中を押してくる。

夕暮れが近づくと、空の色が変わり始める。空は赤から紫へと変わり、まるで私の心の色を映し出しているかのようだ。どこか遠い場所で、家族を持つ猫たちの温もりを思い出す。仲間がいることの羨ましさが、私の胸を締め付ける。

でも、そんな感情に浸っている暇はない。目の前には小さな虫が跳ね、私は本能的にそれを追いかける。楽しい狩りの時間が始まる。私の心は一瞬で解放され、灰色のコンクリートが私の舞台となる。流れゆく影として、この世界を自由に駆け抜けるのだ。私の物語は、まだまだ続いていく。

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(2025年9月23日 09:12 GMT +09:00 時点 - )