僕の名前はミルク。灰色と茶色の縞模様が特徴の猫だ。窓辺に座り、陽の光を浴びながら外を眺めると、世界は色とりどりの物語に満ちている。今日は特に雲一つない青空だ。小鳥たちが楽しそうに鳴き、風に吹かれて木々が優雅に揺れている。彼らの楽しげな姿を見ていると、心が弾む。
しかし、僕には外に出る自由はない。窓の向こうに広がる世界を眺めるのが、せいぜいの楽しみだ。飼い主の優しい手による撫でられ、温かいミルクをもらえることは幸せだけれど、時折、外の世界が恋しくなる。この檻のような家から抜け出して、自由に走り回りたいという衝動が心のどこかにある。
そんなある日、窓の外から何かが僕の目を引いた。それは小さな子猫だった。好奇心いっぱいのその子は、初めての冒険に出ているようだった。周りを探索しながら、時折僕を振り返る。彼の瞳には目に見えない夢が宿っているように思えた。
その瞬間、僕は彼に寄り添いたくなった。彼の冒険を見守りながら、自分の心の中の小さな冒険を共有している気分になった。自由を持たない僕でも、彼の存在によって少しだけ解放されたように感じた。
彼が走り去ると、再び静けさが戻る。窓の向こうは遠い世界だけれど、僕の心には新たな物語が生まれた。猫としての僕の日常に、小さな冒険のひとしずくが加わったのだ。
