橘猫

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橘猫の夢

今日は暖かな陽射しが地面を包み込んでいる。僕は小さな橘猫、草の上でごろりと転がりながら、無邪気な夢の中へと旅立つ。目を閉じると、あの日のことがふと蘇る。あの時、僕はまだ小さくて、母猫の温もりに包まれていた。

草むらの音や、風の匂いが心地よく、周囲の小さな生き物たちが僕の好奇心をかきたてる。虫が飛び交い、鳥がさえずり、全てが僕の遊び相手だ。時折、木の影から見つめている人間の子供たちが、楽しそうに笑う声が聞こえる。彼らは僕を見て、無邪気な目で笑っている。

でも、こんな日常の中に、少しの不安も感じる。人間は優しいけれど、時には知らない場所へ連れて行かれることもある。そんな時、僕は心の奥で、また母猫に会いたいと願っている。彼女の温かさを思い出しながら、自分をなだめるのだ。

陽が傾き、空がオレンジ色に染まる。草の上で目を開くと、身の回りは一段と美しくなっている。夕暮れの光が、僕の毛並みを照らし、全てが黄金色に輝いている。今日はただの猫ではなく、夢の中の冒険者。心の中に母猫の存在を感じながら、僕は新たな冒険へと飛び立つ準備をするのだ。

地面に寝転びながら、僕はまた夢の世界に入っていく。何も恐れることはない。僕の心には愛が溢れているから。明日もまた、美しい日が待っているだろう。

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