白い壁の向こうに

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ひんやりとした白い壁の上に座った僕は、その目の前に広がる世界をじっと見つめている。オレンジ色の毛が太陽の光を受けて温かく輝く。心の中には何か大きな期待が膨らんでいた。今日こそは、あの小さな鳥たちに会えるかもしれない。彼らのさえずりが、僕をわくわくさせるのだ。

少しずつ、その小鳥たちが近づいてくるのが見えた。彼らは無邪気に飛び跳ね、僕の視界をかすめていく。心臓が早鐘のように高鳴る。彼らの動きに合わせて、僕も身をかがめ、目を細める。彼らがもう少し近くに来てくれれば、僕の静かな狩人の本能が目覚めるのだ。

だけど、あの日のことを思い出す。あの小鳥を捕まえようとしたとき、彼は飛び去ってしまった。僕はただの遊びだったはずなのに、心のどこかでその小さな命が気になっていた。そして、あれ以来、僕の心には何かが残った。

今はただ、この白い壁の上で静かに彼らを見つめている。小鳥たちが懸命に遊ぶ姿は、無邪気さと自由さの象徴だ。彼らを捕まえることができなくても、今この瞬間を楽しむことができると気づいた。僕は心の中で笑い、少しだけ羽ばたいてみる。彼らのように、自由に生きることができるんだ。

太陽が沈みかけ、空が紫色に染まる。その中で、僕はこの特別な瞬間を胸に焼き付ける。何も捕まえられなくても、僕はただここにいる。それが僕の幸せなのだから。

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