隠れた思い

誰にも見られない場所で、ひっそりと息を潜めることがある。
リビングの隅に、木製の椅子の下。
そこが、彼女—ミルク—の今日の隠れ家だった。

どうしてここにいるのか、彼女自身にもわからない。
ただ、静かな空間で、他の何かに気づくためにここにいるのだろう。
その目は、まるで何かを感じ取ろうとしているように、じっと周りを見つめていた。
「何を見ているの?」と誰かが問いかけたら、きっと彼女は答えないだろう。
ただ、目を大きく見開き、さらに静かにそこに留まるだけだろう。

その目には、疑いも迷いもなく、ただ真実を求めているような、 深い深い何か を感じた。
外の世界はすべて動き続けているけれど、彼女はその中に自分の場所を見つけようとしているのだ。
一度きりのこの瞬間、この隠れた空間こそが、彼女にとっては全てを意味しているかのようだった。

たとえ誰にも見られなくても、彼女には 見ている世界 がある。
その目の奥で、すべてが繋がっている気がするのだ。
彼女の世界は、ただ静かなものだと思っている人々とは違う。
きっと、何か大切なものを見つけようとしている。

そして、彼女はただ、木の柱の影で息を潜める。
どんな質問も、答えはすぐには返さない。
答えるべき時が来るまで、彼女はじっと待つのだろう。

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