茶色い段ボール箱の中にいると、僕の小さな世界は広がる。外の光が微かに差し込み、心地よい温もりを感じる。僕はオレンジ色の毛並みをぴかぴかにして、この場所がどれほど特別かを知っている。外で聞こえる音、子供たちの笑い声や遠くの車の音、それはまるで小さな演奏会のようだ。
この箱は、僕にとっての城だ。周りには誰もいない。時には、外を見つめながら夢中になり、自分の王国を想像する。高い木の上で遊ぶ鳥たち、風に乗って舞い散る葉っぱ、そして時折、僕を見つめる優しい目…。そんな夢の中にいると、心が躍る。
でも、時々、ふとした瞬間に孤独を感じることもある。この段ボールの壁が、外の世界と僕を隔てているように思えるからだ。外に出たい、みんなと遊びたい、でもこの箱の中には僕の秘密が詰まっている。ここでの安らぎや、ひとときの静けさは、誰にも渡したくないものだ。
ある日、箱の隙間から小さな手が伸びてきた。僕の心臓がドキドキする。目の前に現れたのは、優しい女の子。彼女は僕を見つめ、「一緒に遊ぼう」と微笑んだ。その瞬間、箱の中の孤独は消え、温かな光が差し込んできた。この小さな段ボールの中で、僕は新しい友情の種を見つけたのだ。