心の隙間

私は灰色の猫、夕暮れ時の柔らかな光の中、壁の側でひとり静かに座っている。少しだけ冷たくなったコンクリートが、私のひんやりとした体を受け止めてくれる。外の世界は色とりどりの音で溢れ、風に乗って運ばれてくる香りが私を包み込む。

近くで子供たちの笑い声が響く。彼らは楽しそうに遊んでいて、私の存在など気にも留めない。でも、私はそれが心地良くもある。時には無邪気さが羨ましく、心の中で少しだけその瞬間を共有したくなる。彼らの世界は明るく、そして自由だ。

私の目の前には、小さな虫がひらひらと舞っている。私はそれに向かってじっと狙いを定める。狩りの本能が目を輝かせ、一瞬で心が躍る。そして、飛び跳ねたその瞬間、虫は飛び去ってしまった。私の心は少しだけがっかりするが、すぐに新しい音や光に注意が移る。

私の視界の隅に、ゆっくりと近づいてくる一人の少女がいる。彼女はかすかに微笑み、私の方をじっと見ている。私たちの間には、言葉を超えた何かが流れた。彼女の手が伸び、私の頬を優しく撫でる。温かさが私の心に浸透してくる。「あなたも寂しいの？」そんな問いかけが聞こえた気がする。

その瞬間、私は自由と孤独の狭間にいることを知った。彼女の優しさに励まされながら、私はまたこの街のどこかで、いつか出会える奇跡を夢見る。私の心の中には、その小さな喜びがずっと残っている。