僕の世界・君の世界

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僕の名前はミルク。真っ黒な毛皮に白い模様が特徴の長毛種。毎日、家の人々の生活を観察しながら、静かな時間を楽しんでいる。今日も午前中の陽射しが差し込む窓辺で、うとうとしながら夢の中を漂っていた。

窓の外では、小鳥たちが楽しげにさえずり、色とりどりの花が風に揺れている。猫の僕には、いくらかの冒険心が芽生えてきた。最近、気になることがある。それは、家の裏庭に秘密の通りがあることだ。誰も行かないその道は、緑の葉に覆われた小さな隙間で、僕の好奇心をじわじわと刺激している。

ある日、思い切ってその通りに足を踏み入れてみた。新鮮な匂いが鼻をくすぐり、心が躍る。周囲を注意深く見渡すと、見たことのない小さな生き物たちが顔を出している。特に、一匹の小さなネズミが僕の目の前でじっとしていた。意外にも、捕まえようとするのではなく、僕はそのネズミと目が合った瞬間、心の中で何かが変わった。

彼もまた、僕と同じようにこの世界を探求している。僕たちは言葉は通じないけれど、この瞬間、心のどこかで共鳴している気がした。結局、僕はそのネズミを追いかけるのをやめ、静かに彼の存在を受け入れた。

家に戻ると、いつも通りの暮らしが待っている。しかし、心の中には新たな冒険の芽が育ち始めていた。きっと、明日もまた、この秘密の通りを訪れるだろう。

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