ひそやかな足音

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窓辺に座り、朝の光が淡く部屋を満たす。私はこげ茶と白のタビー猫、名前はクー。昨日の夜、かすかに聞こえた音が心に残っている。あれは、何かが私を呼んでいたのかもしれない。興味が湧き、しっぽをピンと立てた。

外に出ると、青空が広がり、風が頬を撫でる。道端の草の匂い、遠くで聞こえる鳥のさえずり、どれもが心地よい。私は小さな冒険者。目の前に広がる世界へと、足を運ぶ。

しばらく歩くと、庭に迷い込んだ小さな蝶が目に留まった。色とりどりの羽が、私の好奇心を刺激する。追いかけると、蝶はふわりと舞い上がり、私の目の前を横切る。思わず飛び跳ね、夢中で後を追う。笑い声が聞こえそうなほど楽しい。

しかし、途中でふと立ち止まる。周囲が静かになり、心に浮かんだのは、家の中で待つ家族のこと。彼らは私を愛し、目を細めて見つめる。それが、私にとっての幸福。私は冒険の途中でその幸せを感じ、胸が温かくなる。

再び蝶を追いかける。私は日常という名の舞台で、自分の役割を果たす。無邪気な遊び心を持ちながら、愛される存在でありたい。日が沈むまで、外の世界で楽しみながらも、心の中にはかけがえのない家族がいる。

そして、私はゆっくりと庭を後にし、帰る道を選ぶ。小さな冒険は、心に新たな光を灯してくれたのだ。

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