ひそやかな月夜の足音

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私は小さな黒とグレーのタビー猫、夜の静寂を楽しむのが大好きだ。今日も、月明かりが庭の隅々を照らす頃、私は窓辺に座り、外の世界を眺めていた。白い月が高く輝き、星たちがまるで私に語りかけるように瞬いている。

その時、ふと目に留まったのは、庭の隅にいる小さな影だった。おそるおそるその影に近づくと、そこには一匹の小さなリスがいた。私と同じように、彼も月の光に魅了されているようだ。彼は尻尾をピンと立て、私に気づくと、驚いて一瞬止まった。私たちの視線が交わり、静かに時間が止まったように感じた。

リスは少しずつ近づいてきて、私の顔をじっと見つめた。その瞬間、私は何か不思議な感覚に包まれた。恐れも緊張もなく、ただ友達になりたいと思った。心の中で、リスに「一緒に遊ぼう」と呼びかけた。

月明かりの下、私たちは無言で遊び始めた。リスは跳ね回り、私はその後を追いかける。木々の影が踊り、葉のざわめきが心地よい伴奏となる。まるで私たち二匹だけの秘密の世界が広がっているかのようだった。

しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、リスは何かの気配に気づいたのか、急に走り去ってしまった。残された私は、月光の中で静かに座り込み、彼の姿が消えた場所を見つめていた。心にぽっかりと空いた穴のような寂しさが広がる。

それでも、私はこの不思議な出会いを忘れない。夜の静けさの中で、まだリスの足音が響いているような気がしたから。

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