とある窓辺の静けさ

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ぼくは窓辺で日向ぼっこをしながら、外の世界を眺めている。茶色と白の模様が、陽の光に照らされて暖かく感じる。そこには、いつもと同じ通りが広がっていて、色とりどりの花が咲き誇り、近所の子どもたちが楽しそうに遊んでいるのが見える。時折、犬の鳴き声が聞こえ、瞬間的に興味を引かれる。ぼくはその音の正体を探ろうと、窓辺から身を乗り出す。

今日は特に、風が心地よい。葉が揺れる音も、まるで自然のメロディのようで、ぼくの心を和ませる。たまに、通り過ぎる人々の笑い声が風に乗ってやってくる。それを聞くと、ぼくも嬉しくなって、しっぽをピンと立てる。

しかし、ふと視線を移すと、隣の家の庭に一匹の猫がいるのに気づく。その猫は、ぼくと同じように窓から外を見ているが、その目はどこか寂しげ。もしかしたら、ぼくと同じように外の世界を夢見ているのかもしれない。気づけば、ぼくの心に一瞬の切なさが広がる。

「おいでよ、遊ぼう」と思ったけれど、言葉は通じない。ぼくはただ、この静かな午後のひとときを楽しむしかない。外の世界は自由で楽しそうだが、窓の向こうには、見えない壁がある。だから、ぼくは再び日向に身を預け、心の中でその猫に向かってやさしい思いを送る。

今日もまた、ぼくは窓辺の小さな王様。

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